半衿とは 基本的に必要なのは2つだけ 〜半衿の基礎知識からおすすめまでを解説〜 | 和時間
            

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半衿とは 基本的に必要なのは2つだけ 〜半衿の基礎知識からおすすめまでを解説〜

悩める人
半衿って何?季節によって変えないといけないの?
生地の違いがよくわからない。初心者にもわかりやすく教えてください!

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  1. 半衿の基礎知識
  2. 夏半衿のおすすめ
  3. 冬半衿のおすすめ

この記事を書いている私は着物関係の本を30冊以上読み、独学で着付けをマスターしました。
季節によってつけ替えなければならない半衿。
種類もたくさんあるのでどういうものを選べばいいのか迷いますよね。
しかし、基本的に必要な半衿は2つだけなんです。
なぜ2つなのかという理由とともに、最適な半衿を購入できるようこのページを作成しました。
半衿選びに迷われている方は、どうぞお読みください。

1.半衿の基礎知識

半衿とは襦袢の衿部分につける生地です。
着物に肌が直接触れるのを防ぎ、襦袢の衿部分が汗や皮脂で汚れないようつけるのです。
最も顔周りに近いことから、お洒落のポイントとしても使われます。

半衿で気をつけるべき点は「季節」「生地」「色」「デザイン」の4つです。

半衿の季節

半衿には大きく分けて「夏半衿」と「冬半衿」があります。

夏半衿冬半衿
春単衣(一枚仕立て)薄物(透ける生地)秋単衣(一枚仕立て)袷(二重仕立て)
6月7月〜8月9月10月〜5月

単衣着物と袷着物の境目、つまり6月と10月が半衿の変わり目です。

半衿の生地

半衿に使われる代表的な生地として、正絹、化繊、麻が挙げられます。
フォーマルな礼装用着物には正絹の半衿が一番です。
正絹特有の光沢と発色が顔周りに華やかさをプラスしてくれます。

普段の着物には自宅で簡単にお手入れが出来る化繊や夏限定の麻素材がおすすめです。
首回りはどうしても汗や皮脂などで汚れるため、洗濯機で気軽に洗えると安心です。
高級化繊(シルック)は正絹の風合いがあるので良いですよ。

もう一つの考え方としては襦袢に素材を合わせるというのもあります。

・「正絹の襦袢」×「正絹の半衿」= 襦袢は専門店へ、半衿は専門店へor手洗い
・「正絹の襦袢」×「洗える半衿」= 襦袢は専門店へ、半衿は洗濯機へ
・「洗える襦袢」×「正絹の半衿」= 襦袢は洗濯機へ、半衿は専門店へor手洗い
・「洗える襦袢」×「洗える半衿」= 半衿をつけたまま襦袢ごと洗濯機へ ⇨ 簡単でおすすめ⭕️

特に着物初心者の方には「洗える襦袢」×「洗える半衿」の組み合わせを強くおすすめします。
着物へのハードルを低くし、少しでも着物を着る機会を増やすことがその目的です。

また最近ではカジュアル着物に合わせるための、木綿、レース、ビーズなどの半衿も出ています。
これらはお稽古ごとには向きませんが、普段の着物に遊び心をプラスしたい時にぴったりです。

半衿の色

半衿の色は「白」と「(白以外の)色物」の大きく2つに分けられます。
フォーマル〜カジュアルまで幅広く使えるのが「白」、カジュアルな場のみ使えるのが「色物」です。
色が濃くなるにつれカジュアル感が強くなると覚えておいてください。
着物初心者の方は「白」の半衿があれば、どんな場面でも使えるので安心です。

ちなみに茶道では、白半衿(「白」の無地の半衿)を使うと決まっています。
季節に合わせた半衿をご用意くださいね。

半衿のデザイン

半衿には大きく分けて「無地」と「柄物」があります。
「無地」とは文字通り柄や刺繍など一切の装飾がないものです。
第一礼装の冠婚葬祭では基本的に白半衿(白の無地)を着用します。

「柄物」とは刺繍や地模様などがあるものを指します。
レースやビーズなども柄物の一種と考えて良いでしょう。
派手なものはカジュアル感が増します。

下記に着物の格に応じた半衿の対応表をまとめました。

礼装用普段用

第一礼装(アフターヌーンドレス)

5つ紋の黒留袖
5つ紋の黒喪服(黒紋付)
白無垢・打掛・本振袖
5つ紋の色留袖

白半衿(塩瀬)が基本
慶事では白地に白・金の刺繍が使われることも
色打掛や本振袖には色半衿でも可

外出着(ワンピース)

小紋
紋なしの色無地
紬の訪問着・無地の紬
絞り・御召・更紗

白半衿・色半衿・刺繍入りなど自由
よそ行きではなく普段着としての利用なら
木綿、レース、ビーズなどもOK

略礼装(セミアフターヌーンドレス)

色留袖(3つ紋・1つ紋)・振袖
訪問着・付け下げ
紋入りの色無地・紋入りの江戸小紋

フォーマルな場では白半衿(塩瀬)が基本
慶事では白地に白・金の刺繍が使われることも
色半衿は淡い色を選ぶのが無難
茶席では必ず白半衿
フォーマルな場以外では色や刺繍など自由

普段着(デニム)

紬・絣・黄八丈
ウール
銘仙・木綿・浴衣

白半衿・色半衿・刺繍入りなど自由
その他木綿、レース、ビーズなど自由

上の表からもわかるように「白半衿(白無地の半衿)」はどの着物にも合わせられますよね。

ポイント

基本的に必要なのは「洗える白無地の夏半衿と冬半衿」です。
この2つは着物初心者の方にこそおすすめします。
どんな着物にも合わせられ、かつお手入れも簡単なので間違いがありません。

2.夏半衿のおすすめ

生地絽縮緬麻絽楊柳
着用時期6月〜9月下旬6月・9月6月下旬〜8月5月・9月
詳細最も重宝する生地。
単衣・薄物の時期全てをカバーしてくれるので、この1枚があれば夏半衿はOK。
単衣の時期専用。
夏と冬の橋渡し役。
季節の変わり目にぴったりなので、2枚目を買うならおすすめ。
麻や夏紬など、夏の織の着物専用の生地。
麻の透け感が首元の涼しさを演出。
普段着にぴったり。
季節の先取り役。
夏半衿と冬半衿の開始直前の切り替え期間のみ着用する。
着物上級者向け。

最初の夏半衿を探している方は「絽」一択です。
単衣の時期だけでなく、薄物の時期も着用可能です。
さらにどんな着物に合わせてもOKなので、とても万能な1枚です。
「おすすめの夏半衿」ですね。

 

「絽」に加えてもう1枚購入を検討中の方におすすめなのが「絽縮緬」です。
6月・9月の単衣着物時期にのみ着用します。
着物の初心者から一歩進んだお洒落を目指す方におすすめです。


麻絽は普段着の着物である織の着物専用の生地です。
麻の素材が織の着物にとても良く合い、涼しさを演出します。
織の着物をお持ちの方は購入されて損はないですよ。


「楊柳」は5月に先取りして単衣を着用する際と9月の単衣時期にのみ着用します。
限られた短い期間だけに着用できる半衿ですから、ある意味とても贅沢な半衿です。
この半衿を着用される頃には、あなたも着物の達人ですね。

 

3.冬半衿のおすすめ

生地塩瀬縮緬
着用時期10月〜5月11月〜2月
詳細この半衿が1年のうち最も着用期間が長い。
袷の時期全てをカバーしてくれるので、この1枚があれば冬半衿はOK。
最も寒い時期に着用する。
厚みがあるので、首回りを暖かく守れる。2枚目をお探しの方におすすめ。

1年を通して最も着用期間が長い塩瀬。
その分汚れるリスクも高いので、洗濯機で洗えるものがおすすめ。
シルックは絹の風合いもあり人気です。
「おすすめの冬半衿」ですね。


フォーマル用の塩瀬をお探しならこちらがおすすめ。
正絹100%でありながら、パールトーン加工が施されているので自宅で洗濯可能です。
また黄変防止の加工もされているため、長くお使い頂けますよ。

特に寒さが厳しい頃につける縮緬の半衿ならこちらがおすすめです。
縮緬特有のしぼ(細かい波状の表面)が暖かさをプラスしてくれます。
洗濯できるのも嬉しいポイント。

 

結論

基本的に必要な半衿は「洗える白無地の夏半衿と冬半衿」です。

シルック白半衿の絽と塩瀬があれば、どのような着物に合わせても困ることはありません。
ハイフォーマルな場では正絹の塩瀬の半衿を購入すればOKです。
ご自身の着物の着用シーンや予算に合わせて少しずつ増やしていくのも楽しみの一つですよね。

以上「半衿とは 基本的に必要なのは2つだけ 〜半衿の基礎知識からおすすめまでを解説〜」でした。
あなたの半衿選びの一助になりましたら幸いです。

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